コラムColumn
2022.01.20解決事例
医療事件の解決事例
最近,医療事件が一つ解決したので解決事例としてご紹介します。
1 事案の概要
依頼者の母親は,十二指腸癌の診断がなされ,その十二指腸癌を切除するため膵頭十二指腸切除術が実施されました。
手術後,母親に膵液瘻が生じていたものの,その対応がなされなかった結果,腹腔内出血が生じ,死亡したという事案でした。
2 訴訟の流れ
弊所では,協力医に開示されたカルテの全てをチェックしていただき,医療過誤の可能性が高いと判断されたことから速やかに訴訟提起を行いました。死亡事故のため,調停ではなく訴訟を選択しました。
相手方の病院は医療過誤であること自体を争いましたが,医療文献や協力医の意見書を提出し,粘り強く立証活動を行った結果,相手方から医療過誤であることを前提とした和解協議の申し入れがあり,協議に応じました。
裁判所から和解案の提示もあり,依頼者は3000万円超の解決金を受領することができました。
3 解決金について
依頼者の母親は80歳を超える高齢者であり,収入も年金収入のため,損害のほとんどが死亡慰謝料でした。慰謝料の額としては過去の裁判例に照らしても相当な金額でしたので,和解に応じ,解決に至りました。
4 最後に
裁判官も弁護士も医師資格を有していない者がほとんどです。そのため,医療訴訟は医学の知識がない裁判官に医療過誤であることを説明することは非常に大変です。
医療関係でお困りごとがございましたらご相談いただけると幸いです。
(弁護士 太田 響)