コラムColumn
2023.10.05解決事例
養子縁組取消事件の解決事例
1 事案の概要
依頼者には長年連れ添った夫がおりました。夫婦の間には子供がおりませんでした。夫は,夫の親族と夫が亡くなる約1週間前に養子縁組をしておりました。依頼者は,その養子縁組を知らず,夫が亡くなった後知ることになりました。
2 養子縁組が相続に与えた影響
夫には子供がおらず,兄弟がいるのみでした。また,夫は遺産を全て妻である依頼者に相続させるという遺言を作成していました。そのため,夫が亡くなった場合,全ての財産は妻である依頼者が取得し,遺留分を他の相続人に支払うという負担も不要でした。しかしながら,夫が養子縁組をした結果,遺留分を有する相続人として養子が現れることとなり,全体の相続財産の4分の1を遺留分侵害額として支払わなければならなくなります。そのため,夫の養子縁組を取り消す必要がありました。
3 弊所での対応
法律相談後,依頼者に対して,戸籍届の取得をお願いし,速やかに養子縁組取消の訴えを提訴しました。
配偶者がいる者と養子縁組する場合,その配偶者の同意が必要です。養子縁組届に配偶者の同意の署名をし,届出をすることが一般的です。取得をお願いした養子縁組届には,依頼者のものではない署名がなされておりました。そこで,速やかに養子縁組取消訴訟を提起しました。
裁判では,同意がないことの主張や関連する証拠を提出し,最終的には証人や相手方の尋問を経て,同意がなかったということが認められました。
4 お気軽にご相談を
弊所では,相続に関しては,遺産分割協議や遺言の作成だけでなく,本件のような相続人の範囲を争う裁判や遺言の内容を争う裁判等も行っております。また,相続税の申告や相続登記も弊所で行うことが可能です。
相続でお困りの方はお気軽にご相談ください。
(弁護士 太田 響)