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2024.01.13個人法務

相続登記(土地建物)が義務化されます

相続登記とは

不動産(土地・建物)は、所有権や抵当権など、その不動産の権利について、法務局で登記がされています。これまでも、不動産所有者が亡くなった後、相続人がその不動産を売却するなど処分する場合には、相続により所有権が移転したことを登記(相続登記)する必要がありました。しかし、特に、不動産を売ったり、担保にお金を借りたりしない場合には、相続登記をしなくても問題がなかったことから、相続登記などの相続手続がされず、長期間、亡くなった人の名義で登記されたまままの不動産が発生してしまいました。

相続登記がされないまま、次の相続(数次相続)が発生し、不動産について権利を有する人が倍々と増えていき、いざ、その不動産を売却しようとしても、全員に連絡を取ることも大変な状況になるというケースも見受けられます。また、権利者が多くなると、不動産の管理責任もあいまいになり、土地建物が荒れたまま放置されるケースも発生しています。

このように、相続登記がされないまま、土地の権利関係が分かりにくくなる状態を防ぐため、令和6年(2024年)4月1日より、不動産の相続登記が義務化されることになりました。

相続登記の義務化

相続人は、相続不動産の権利を取得したことを知った日から、3年以内に相続登記を行うことが義務付けられました。この期間内に正当な理由なく相続登記をしなかった場合、10万円以下の過料(行政罰としての違反金)が科せられることになります。

なお、令和6年4月1日より前に亡くなった方の相続についても、原則として、法律の施行から3年後の令和9年3月31日までに相続登記をすることが義務付けられています。

相続登記を行うために必要なこと

相続人の調査・確定

相続登記を行う前提として、被相続人(亡くなられた方)が生まれてから亡くなるまでの戸籍などを取得して、相続人全員を特定する必要があります。子どもがいない方の場合は、兄弟姉妹を特定するために、被相続人の両親についても生まれてから亡くなるまでの戸籍を取得するなど、取得すべき戸籍が多くなります。
相続登記手続のためには、それを証明する戸籍が必要なため(ご自身の知らない兄弟姉妹が存在する可能性も0ではありません)、「亡くなった父の子供は自分しかいない」と思っていても、戸籍の取得は必ず行う必要があります。

相続する人を決める(遺産分割)

相続人が複数人いる場合、相続人のうち「誰がどの不動産をどれだけ相続するか(遺産分割)」を、話し合いにより決める必要があります。

話し合いにより遺産分割がまとまらない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停や審判により、裁判所で遺産分割の内容を決めることになります。

なお、被相続人の遺言があり、相続や遺贈を受ける人が指定されている場合は、遺産分割は必要なく、遺言を使用して、相続(または遺贈)の登記を行うことができます。

3年以内に相続登記ができないとき

相続人間での話し合いがまとまらないなど、3年以内に最終的な相続登記を行うことができない場合、① 法定相続分による相続登記、又は、②相続人申告登記 のいずれかを行う必要があり、一般的には、このうち「②相続人申告登記」を行うことになります。

相続人申告登記は、相続による所有権の移転はまだ確定していないが、仮に権利を有する人を、記録する登記となります。所有者ではありませんが、登記情報に、住所氏名が記録され、不動産登記情報として誰でも取得することができるため、不動産の権利者として、公示されることになります。

相続人申告登記と相続登記の2度手間を防ぐためにも、相続開始後は、早期に遺産分割の話し合いを行い、誰が何を相続するかを決めることをお勧めします。

相続登記を誰に相談するか

司法書士

相続人の数が多くなく遺産分割の話し合いもできる、又は、遺言で不動産を取得する人が決まっているという場合には、登記の専門家である司法書士に依頼するのが一般的です。

弁護士

相続登記を弁護士に依頼(相談)した方がよいのは、

  • ・相続人間で遺産分割の話し合いがまとまらない
  • ・連絡がつかない・行方不明の相続人がいる
  • ・数次相続が発生し相続人が多すぎて自分で連絡を取ることが難しい

といったケースになります。司法書士は、相続手続においては、依頼者の代理人として他の相続人と交渉を行うことができません。相続人間の調整が必要なケースでは、代理人となれる弁護士へ依頼する必要があります。

なお、弁護士に依頼した場合、相続人間の交渉や家庭裁判所の手続により遺産分割の書類を作成するまでを弁護士が行い、書類が完成した後の登記申請は、別途、司法書士へ依頼するケースがほとんどです。
当事務所では、受任事件に関連した登記業務については、当事務所で登記申請代理まで一貫して受任するサービスを提供しております(別途、登記報酬が必要です)。

遺産分割の話し合いには時間がかかります。まだ相続登記をしていない不動産があるが、相続人間での話し合いができない、どうやって話し合えばよいかわからない、祖父母・曽祖父母の名義で相続人がどれだけいるかわからないといったケースは、早めに弁護士へ相談することをお勧めします。

当事務所でのご相談を希望される場合には、お問合せフォームよりご連絡下さい。

 

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