人事労務

1) 労働紛争の予防

 中小企業においては、少人数であるが故、労働紛争が発生する確率は低くても、一度、紛争が発生すると、企業全体に対する影響は大きいものです。
 労務トラブルに関しては、事前の防止策が重要です。2013年には「ブラック企業」という言葉が流行語大賞のトップ10にノミネートされ脚光を浴びました。「ブラック企業」に明確な定義はありませんが、長時間労働、それにもかかわらず残業代の未払、パワハラ体質などがその条件にあげられます。もし、貴社が本当にこのような「ブラック企業」であれば、従業員から訴訟を起こされても、戦うすべがありません。
 当事務所では、就業実態のヒアリングや、実態に応じた就業規則や賃金規程の作成・見直しを行って、将来の労働紛争リスクを低減する労務コンサル型顧問サービスを提供しております。

2) 労働紛争への対応

 労働紛争が発生してしまった際にどのように対応していくか。労働紛争については、その解決のため、多様な解決手段が提供されており、紛争の内容に応じ、適切な手段を取っていく必要があります。
 紛争解決の手段としては、個別の交渉、労働組合との団体交渉、労基署を通じた指導勧告、労働委員会におけるあっせん・調停・仲裁,裁判所における調停・労働審判・訴訟などです。
 浜松市の特性としては、静岡地方裁判所浜松支部で、労働審判の取扱が開始されて以降、被用者側からの紛争解決申立として労働審判の申立がなされるケースが増えています。また、個人加入可能な労働組合による団体交渉の申し入れも散見されます。労働委員会におけるあっせん等は、あまり利用されていない印象です。
 また、被用者が労基署に相談を行った場合で、労働法令の違反の疑いがある場合には、労基署から指導助言がなされたり、場合によっては、調査をうけたりすることがあります。調査によって重大な労基法違反があった場合、刑事処分を受ける可能性もあります。
 労働紛争が発生した際には、被用者の主張に対する反論を適切に行うことはもちろん重要ですが、会社側に法令違反や労働紛争を引き起こすような体制不備がないかの検証が重要です。法令違反や体制不備をそのままにしていると、同じような労働紛争が繰り返されることになります。 

3) 労災事故

 労働紛争の一類型ですが、労災事故をめぐり、使用者への損害賠償請求が増加する傾向にあります。もし、被用者の死亡事故が発生した場合には、使用者には数千万円の損害賠償義務が生じる可能性があります。
 労災保険から、治療費は全額支給されますが、それ以外は、休業損害の6割と、後遺障害が残った場合の逸失利益の一部を補償するに過ぎません。入通院や後遺障害の慰謝料は全く含まれていません。
 また、いわゆる外傷による労災だけでなく、長時間労働、過重労働やパワハラを理由とした精神疾患についても、労災として認定され、会社に損害賠償が求められる事例が増えています。
 労災事故については、リスクを適切に判断し、事前に保険へ加入することも必要です。保険への加入パターンは、労災保険への上乗せする賠償責任保険、傷害保険、生命保険などが考えられます。傷害保険や生命保険については、支払われた保険金が損害賠償に充当されること等をあらかじめ就業規則や雇用契約で、使用者と同意しておく必要があります。

4) 被用者(働く方)向けの労働相談、受任

 当事務所では,被用者(働く方)側からの労働に関するご相談,ご依頼にも対応しております。労働法令を遵守し,よりよい労働環境を構築するという点では,会社も従業員も目指すところは同じです。